洋行日記

日々の気づきを記録していきます。

今宵を彩るナンバー 井上陽水『5月の別れ』1993年

今宵を彩るナンバー
 
 井上陽水『5月の別れ』1993年
 
彼の名曲は数あれど、もう合わないかもしれない二人の心の機微を唄った曲は他にない。
 
詩を追えば、数々の隠喩が散りばめられている。風は、別れの時が来たという。しかし、若葉たちは強がりを決め込み、風の流れには身を任せまいと強がるのである。
 
時を告げる鐘が二人の時の終わりを告げる。それを受け入れれば、別れを見取った青空がご褒美として、何か夢を叶えてくれるのだろう。
 
なぜ5月の別れなのでしょうか。3月ではなく、12月でもない。分かれた二人のうち片方は、4月から遠くへ居を移し、1月ほど経ってから、故郷を訪れているのでしょうか。いつか遊びにいきたいなんていいながら、もう会うのはこれっきりだと悟っているのです。
 
そうしている内にも、レタスの新芽が立ち上がり、時の流れを知らせる。星たちもそれに輪を掛ける。自然とはなんと無情なものなのでしょうか。これは、二人の私小説に過ぎませんが、メロディは大自然の摂理を表すように、荘厳な伽藍を築き上げていきます。それは、私小説にも大自然と等しく畏敬の念を持つべきものだと作り手は示しているようです。
 
それでは、聴いて下さい。井上陽水で『5月の別れ』どうぞ!